来るべき近未来。事実上の永久機関であるピアノ・ドライブによりエネルギー問題が解決し、「
しかし、そこに忍び寄る影があった。地球の675倍の質量を持つミラー天体「シーヴェル」が地球から僅か40万キロのところを通過するというのだ。
シーヴェルを発見した探査船「ファルケ」の船長、ブレイドの姪風祭魅波は叔父の遺した人工意識コンパニオン
基本ラインとしては非常によく練られたSFで、作者的にはM9に続く「特撮をきちんとSFする」話の第二弾。地球を移動して天体規模の災害から回避するという妖星ゴラスの基本コンセプトを元に、様々な社会的な影響などを緻密に描いた作品、というのが多分、教科書的な評価になるはず。
ただ、なんちゅーかこう、色々と個人的なあれこれを詰め込みすぎ。某トンデモ環境論な武○田教授との経緯までネタにするのには大笑い。それがこの人の昔からの芸風だけど。昔シュミ特今ネットというか。
それに女性作家だと有川浩みたいに「自分の敵を攻撃する」をコアにして話を書く人って多いけど、男性作家だと他には林譲二くらい。面白く書けるかどうかまで入れると、本当に貴重なことは確か。
話を教科書的なところに戻すと、物語的な欠点ではやっぱり「百合が中途半端で利いてない」に尽きるかな?
この物語の一つのテーマとして、まさに初音ミクによってぐっと現実に近くなった(そしてミクフェスのように一部は現実になっている)「人と人が作ったものとの関わり」というのがあって、古いテーマだけど今だからこそ胸に迫ってくるものがある。
んで、そのテーマの中では魅波とマイカとの関係は物語の要請的に恋人でもなく召使でもなく、それでいて人と人の作ったものの境界を超えたところで親しくなければならない、というのはわかるんだけど、なまじっか二人が仲良すぎるから魅波の恋人(女性)との関係がすごく薄くなる。
理念的なことはさておいて、基本的に同性愛やピグマリオン・コンプレックスとかは今の社会では排斥される側にあるものなわけで、それだけ「強い」素材ほ社会的な変化を含めた広い意味でのSFガジェットの一部として出すことで物語上の効果を狙うには中途半端なんだよね。背景というには前に出すぎ、かといって主要な素材というには色々なものとのかかわりが薄い。
恋人側のキャラ的に、男にすると癖が強すぎて物語的には台無しもいいとこなのも解かるんだけど、それだけじゃ足りない。せめてこう、恋人の側からマイカとの仲をかんぐる様な展開があったら本当に傑作だったと思うのだけど。






























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